第12章 獅子、ご立腹。
side灰羽
玄関のドアを開ければ聞こえる小さな喘ぎ声と俺を呼ぶ声。
一度部屋の前を通り過ぎ、買ってきたものを冷蔵庫に入れたあと、俺は部屋に戻った。
かちゃりと扉を開ければ、部屋から出て行った時と同じように拘束具に手足を固定されている。
俺が戻ってきたことに気づいたのか美優さんは俺を呼ぶ。
『っ…りえーふ?りえーふ。』
それを無視し俺はベッドに乗ると改めて美優さんを見た。
泣いたのか、真っ赤な目尻。
唾液が伝う口端。
乱れた髪の毛。
服の上からでもわかるつんと上を向いた胸の頂。
汗をかいてしっとりとした身体。
そして、真っ赤に熟れた陰核に、愛液を垂れ流しながらひくひくと俺を誘うナカ。
『りえ…ふ…ごめ…なしゃ…』
「何が?」
ひぐっひぐっと嗚咽を漏らしながら美優さんは俺を見る。
『りえーふっ、きず…つけた…ごめん…なさ…』
多分、喋るのもしんどいだろう。
美優さんは何も悪くない。
俺の嫉妬でこんな風になってるのに。
それなのに美優さんは俺に謝る。
「ごめん、美優さん。」
手枷、足枷を外し俺は熱を持った美優さんの身体をゆっくり抱きしめた。