第11章 獅子のいない1週間。寂しすぎて…&すれ違い編
『ごめん、私帰る。』
そう言えば勘違いをした佐保くんが嬉しそうに私の後を追って廊下まで出てきた。
「椎名さん、いいの?出てきちゃって。」
締まりのないニヤついた顔。
やだなぁ…
私は勘違いしている佐保くんに淡々と物事を伝える。
『私、家に帰るの。
佐保くんと2人きりになるために出てきたんじゃないよ。』
「照れなくてもいいって。本当は俺と一緒にいたかったんだろ?」
自意識過剰…
もういいか、放っておいて帰ろう。
『じゃあね?あ、自分のお会計は済ませておくから。』
そう言って会計に向かうとそれでもめげない佐保くんが追ってくる。
「なに?そういうプレイ?そうやって俺のこと夢中にさせる気?」
あーもーうざいっ!
私は帰りたいの!
なんでこう伝わらないかなぁ…
どうあしらうか考えあぐねていれば、すっ…と太ももに指が這う。
「照れちゃった?
美優ちゃんって太ももエロいよねー。」
プツン。
『良い加減に…』
太ももを触られたことにイラつきMAXの私。
左足で踏み込むと勢いよく右足を時計回りに回す。
『しろっ!』
やっくん直伝の回し蹴りが炸裂し、私の足は佐保くんの背中….腰に直撃。
ふげっと変な声を出して佐保くんは床にへたり込んだ。
『今のはセクハラ、アウト。
そういうことばっかりやってると嫌われるよ。』
じゃあねと佐保くんの横を通り過ぎ会計に向かう。
お金を支払うと私は夜の街を走り出した。