第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
『ま…マサちゃ…』
「ムードもへったくれもねえな。こういう時くらい名前で呼べっての。」
ため息をつくマサちゃん。
そんなこと言われても緊張しちゃってどうしようもない。
そんな私を面白がるようにマサちゃんは声を耳に吹き込んだ。
「美優…好きだ。」
愛の告白。
私はリエーフが好き。
だけど、リエーフに出逢う前の気持ちがふわり、浮かび、どうしたらいいかわからなくなる。
『まさ…つぐさん…』
「幸せになってほしい。前にそう言ったけれど、本当は幸せにするのは俺がいい。」
ぐらりと揺れる気持ち。
それを見透かしたかのように、マサちゃんは私の顎を掴むと私に後ろを向かせ目を合わせる。
「好きだ。」
顔が近づく。
ふわり、タバコとバニラの香りが鼻をくすぐった。