第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
『美味しかったぁ!』
食事を終えた後、私とマサちゃんは山下公園に来ていた。
「いいとこだろ。」
『うんっ!すごく!カルパッチョはソースが鯛の味を殺してない絶妙な味だったし、お肉の火の通り方なんて1番美味しいタイミングだった!スープのポタージュは濃厚なのにくどくないし!デザートのクリームは濃厚!ムースは口に入れたらすぐに溶けるし!コーティングのチョコレートはしっかりテンパリングしてあって濃厚なめらかそしてパリパリ!あー!また来たーい!』
勢いだけで味の感想を言えばマサちゃんはくすりと笑い、私の頭を撫でた。
「そこまで喜んでくれたなら連れてった甲斐があったな。」
微笑むマサちゃんが格好良くて、ふいと目をそらす。
風に乗って、潮の香りがふわり、鼻腔をくすぐる。
いつのまにか海の近くまで来ていたようだ。
顔を上げればクルーズ船の光が左右に動き、ビル群が光り輝いていた。
『綺麗…』
ぽつり、呟けば背中に熱。
マサちゃんが私を抱きしめた。