第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
案内された席は1番景色が綺麗な窓際。
ちゃっかり予約取ってたみたい。
マサちゃんめ…
席に座って出てきたのは、食前酒…
と行きたいところだけど、ドライバーと未成年なので申し訳ないけれど、ソフトドリンク。
メインを肉か魚か決め、少し待てば彩り鮮やかな料理が運ばれてきた。
…授業でフレンチの食べ方勉強しててよかった…
「勉強になるだろ?」
その声に顔を上げればマサちゃんはソフトドリンクを飲みながら笑う。
「料理人になるんだったらそれなりのものを見て食べて勉強する。
大事だろ?」
そこまで考えていてくれたのか。
嬉しいな。
『ありがと、正嗣さん。』
にこり笑えば、マサちゃんは急に顔を背ける。
『正嗣さん?』
「お前…急に名前呼ぶのやめろって…」
お、テレてる。
顔隠してるけれど、私、知ってる。
マサちゃんって照れると耳が赤くなるの。
「ほら、次来る前に食べちまえよ。」
『はーい。』
返事をすると私は目の前の料理をどう攻略していくかを考えつつ、フォークとナイフを握り直した。