第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
ってことでまず私達が向かったのは横浜中華街。
ネットのオススメを駆使し、まず向かったのは朝陽門から少し中に入ったところにあるお店。
ひとくちサイズの点心やごま団子を購入し、その場でぱくり。
『〜っ!美味しいっ!』
「そうか。よかったな。」
『マサちゃんも食べる?』
「俺はあとでいい。」
一緒に食べるのがいいのにな。
そう思ったから私はごま団子を1つ摘むとマサちゃんの方を向いて口に押し当てた。
『はい、どうぞ?』
このやろうとでも言わんばかりの顔で私の顔を見るマサちゃん。
でも口は塞がってるから喋れない。
『美味しいでしょ?』
そう、マサちゃんに言えば、マサちゃんは私の手首を掴み、私の指ごと残りのごま団子をぱくりと食べた。
それだけでなく指に付いたごまを舐めとるように私の指先をぺろりと舐めた。
「ん。んまいな。」
マサちゃんはわざとらしくこっちを見て笑う。
少し意地悪な笑みに何も言えずにいるとおっきな手で頭をわしゃわしゃと撫でられる。
「他の店も見るんだろ?行くぞ?」
『…ん。』
いつの間にかさっき買ったものの袋はマサちゃんの手の中。
空いた私の手はマサちゃんに繋がっている。
人ごみの中を、私達は手を繋いで歩いた。