第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
「おーい、美優。言わねーんなら勝手に行き先決めるぞー。」
そう声をかけられて気づく。
そうだ。お昼ご飯を何にするかで悩んでたんだった。
『ねえ、マサちゃん。』
そう聞けば、優しい声音でマサちゃんは私に問う。
『あの…今日って、何時まで付き合ってくれるの?』
そう聞けば、マサちゃんはまたふはっと笑う。
「お前さ、その聞き方…
まあいいや。今日は1日フリー。お前のために丸一日空けた。」
マサちゃんはちらり、私を流し見る。
「お前が望むなら…いつまででも。」
『ねえ、マサちゃんってなんか女慣れしてる感じがする…』
そういえば、マサちゃんは目線を前に戻し笑う。
「お前の何年先生きてると思ってんだ。お前と10歳違うんだ。
それだけ色々経験してるんだよ。
で、行き先、決まったか?」
そうだ!お昼ご飯!
私はとりあえずパッと思いついた案を口に出した。
『お昼は中華街!少しぶらぶらしたあと移動して赤レンガ倉庫とかワールドポーターズとかうろうろしたい!
夜は景色のいいところで夜景でも見ながらご飯!
最後に山下公園ぶらついておしまい!』
そう言えば、マサちゃんは了解と一言呟き、左手で私の頭をわしゃわしゃと撫でた。