第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
最寄駅から車でだいたい1時間。
都会の喧騒を抜け、やってきたのは横浜。
横浜⁈
王道デートスポットじゃないですか‼︎
たしかに車出す前に少しドライブって言ってたけれど…
ちらりと横を見れば口端を上げ、にやり、笑うマサちゃん。
「さて、どこから行く?ちょうど昼飯時だけど。」
う…
ずるい。
横浜…お昼…
悩まないわけないじゃない…
うんうん唸っていれば運転中のマサちゃんがふはっと声を出して笑う。
「悩め悩め。待っててやるから。」
運転してる時の真剣な顔。
信号待ちの時の少し油断した顔。
私と話す時の少し笑った顔。
私が照れた時にする少し得意げな顔。
2年前、私がものすごく欲しかったもの。
高校2年のとき、
私は
マサちゃんが好きだったんだと思う。
でもあの頃は恋なんて知らなかったから
”好き”だということにも気づいてなかった。
みんなよりも少しだけ特別。
それだけだと思ってた。
そして、マサちゃんから向けられていた気持ちも、「危なっかしい生徒を見る先生」の目線で見ているだけだと思ってたんだ。
そんな私が自分の恋心に気づいたのは、リエーフに恋をしたから。
だから、言えない。
好きだった…なんて。