【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第6章 それぞれの過去
「こんな山奥に人が住んでいるのだな」
この時代に山の中腹に住んでいる。
いつ獣や妖に襲われてもおかしくないだろう。
「この辺りに集落が?」
咲夜が不思議そうに問うと
紅夜は眉を潜めた。
それと同時に、祭りの時のノギのように
どす黒い感情が流れ込んでくる。
大丈夫、受け止めるから。
これは紫雨じゃなくて
私が受け入れなきゃならないものだから。
ギュ、っと目を瞑り、落ち着かせる。
「みなさんは『非人』という言葉をご存知ですか」
『非人』
その言葉に同じく眉を顰めるも、全員がうなづく。
『非人』、人間ではない、と書く。
否、人間なのだが。
税金不納者や近親相姦者、心中の生き残りなどの人間を指す。
非人は奴隷労働を強いられた。
「彼らはその非人から生まれた子供なんですよ。」
非人はその身分に落ちてから10年、元の身分に戻るチャンスが与えられる。
だがその子供たちはその機会は一切与えられない。
「彼らの両親はそれぞれ4人全員が非人で、脱走中に出会い、子供を作ったのです。」
そのまま捕まらずに子供を産んだものの、産んですぐ見つかって逆戻り。
子供を連れて3度目の脱獄をするも、見つかり死刑となった。
その後、大きくなった2人は奴隷労働の最中に出会い
2人で脱走。
見つかるわけにはいかず、今はこんな山の中で自給自足の生活をしていると言う。