【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第5章 数千年の月日
「「「彼岸様!!」」」
いつもの礼儀の正しさはどこにやってしまったというのか。
スパーン!
と大きな音を立てて襖が開いたかと思えば
三人同時になだれ込んできた。
「咲夜、紅夜、ノギ」
それぞれしがみ付いて離れようとしない。
い・・・痛い・・・
「咲夜・・・?」
震えてる?
「・・・しん・・心配・・・しましたっ・・・」
グジュ、っと鼻をすすって向き合った咲夜の顔は
涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
「ふふ、なんて顔してるの」
そうか、この子たちは私が常夜とやりあうのを
初めて見たんだ。
「怖がらせてしまって・・・ごめんね。」
ブンブンと音が立ちそうなほど
首を大きく振るのはノギ。
「俺何の役にも立てなくて・・・
咲夜さんと紅夜さんに迷惑かけて・・・
ごめんなさい!」
人間なのに
この中で一番若いはずなのに
一番しっかりしていると思っていたノギも
咲夜に釣られたのか目が潤んでいる。
ノギは人間で
神格2人の妖力のぶつけ合いになんて耐えられるはずがない。
ノギが気に病むことじゃないのに。
「ノギ、あなたは人間でしょう
・・・生きててくれて、よかったよ」
『生きててくれて』
殺してしまわなくて、よかった。