【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第5章 数千年の月日
「・・・あなたはっ!
どうしてそう無茶なさるのですか・・・っ!
こんなにっ、ボロボロに・・・な、って・・・っ!」
声を張り上げて感情をあらわにしたのは紅夜。
いつも冷静でどこか他人行儀な紅夜が
ここまで感情を表にだすのは珍しい。
「ごめんね、紅夜。
紫雨を思ってくれて、ありがとう」
ボロボロと涙が零れ落ちる目を見ながら微笑めば
それは大きく見開かれる。
「しって・・・いたのですか・・・?」
もちろん記憶はない。
200年前、目を覚ました私の傍には
咲夜の他に、知らない顔がもう一人いた。
ただそれだけ。
私の周りには狐をひろってくる奴なんていない。
紫雨の他には。
ただ、それだけだ。
「さすがの私でも気付くさ。
お前は紫雨に拾われたんだろう?」
向き合う。
紫雨と。過去と。
つい先ほど決めたその決意。
まずは周りのことから知っていこう。
ノギについて何も知らなかったように
この子達のこと、紫雨のことだって必要最低限のことしか知らないのだ。
知ることに臆病になってすべてを丸投げするのは、もうおしまい。