【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第4章 愛なんて知らなくて
【咲夜】
あれから数時間。
辺りはもう明るい。
山は派手に木々がなぎ倒されて
半日前、祭りで賑わっていたなんてにわかに信じがたい。
でも、それもきっともう、あと少しだろう。
常夜様も紫雨様も、妖力の尽きる寸前だと思う。
・・・もっとも、フリをしてるだけかもしれないけど。
むしろ、ここまで妖力をぶつけ合って
まだ余力が残っていることが私たちにとっては驚きを隠せないわけで。
「常夜、やるねー
紫雨ちゃん、そろそろ疲れてきちゃった」
一際大きな爆発音がしたのを最後に
紫雨様はその場に崩れ落ちた。
常夜様も、辛うじて立ってはいるが
肩で息をしているし、もう限界だ。
それをきっかけに
ここ数時間食い入るように二人の攻防を見ていた私達は
弾かれたように私は紫雨様を、紅夜は常夜様を
それぞれを支えに回る。
「紫雨様」「常夜様」
「大丈夫ですか、無茶しすぎですよ
もう妖力、底ついちゃったんでしょう」
妖力を使えば出来ないこともないが
私の力だけでは運べないため、地べたに座り込み、
倒れこんでいた紫雨様の頭を膝に置いて問いかける。