【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第4章 愛なんて知らなくて
【咲夜】
「「常夜様!」」
バサ、と音を立てて地に足をついたのは鴉天狗の長。
「常夜!常夜だー!
ひっさしぶりじゃーん!!」
・・・っ!!
まずい、常夜様が紫雨様にもし応戦でもしたら・・・
さすがに止められない・・・っ
「紫雨様、お久しゅうございます、常夜でございます」
ノギはだいぶ前に中てられて気を失っている。
この間にどうにかノギだけでも本殿に・・・。
「元気してたー??
常夜ちゃんちょっと老けたんじゃなーい??」
あそこなら紫雨様も壊そうとはしないし、
結界が瓦礫から守ってくれる。
(紅夜、ノギを本殿に)
隣でノギを支える紅夜にそっと耳打ちすれば
それが合図だったかのように
紅夜が本殿に向かって走り出す。
「そう言わないでください、紫雨様。
最後にお会いしてから
実にもう5世紀が経ちました故。」
常夜様と紫雨様はまだにこやかに話している。
隣には幻術の紅夜。
こちらに注意を向けられていればすぐにバレてしまうが
視界の端に入っている程度なら十分ごまかせる。
「あれー、もうそんなに経っちゃったんだっけー??
あはは、そりゃ老けるかぁ」
ザリ、とすぐ近くで小さな音が鳴る。
反射的に目を向ければ、紅夜が隣に立っていた。
(ノギは)
(大丈夫、本殿に)
ほ、っと一息ついたのもつかの間
それで、常夜は何しに来たの?
と地を這うような低い声が鼓膜に響いた。