【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第4章 愛なんて知らなくて
「う・・・」
ノギが頭を押さえてふらつく。
多少人間離れしてるとは言え
紅夜のむき出しの敵意が、
紫雨の制御しない妖力が、
生身の人間のノギにはあまりに重いのだ。
「ノギ!」
危うく倒れかけたノギを紅夜が支える。
「人間ちゃんだー!」
咲夜と紅夜がうまく隠してたみたいだけど
今ので見つけちゃった。
「初めましてー人間ちゃん?
紫雨って呼んでねー!」
ふふ、と笑いかけるのはさっきと同じ
無邪気で美しい笑顔。
でもね、隠せないの。
笑顔の裏のどす黒く渦巻くそれを。
隠す気も、無いのだけれど。
それに気づいたのか、
ノギはびくりと肩を震わせて紫雨から目を逸らす。
「つれないなぁ~
どうして、こっち見てくれないの?」
紫雨の声がワントーン低くなって
その目はノギを捉える。
「!!」
「こっち向いてって
言ってるデショ?」