【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第4章 愛なんて知らなくて
【???】
大社までのんびりと散歩をして
大体あれから100年近くが経っていることが分かった。
ずらりと並んだ出店。
大社まで続く赤い提灯。
カラフルな紅白の舞台に、役目を終えた神輿。
明日の昼からでも、片付け出すのだろう。
人そのものが居なくても
どれだけ楽しい行事なのか、見るだけで伝わってくる。
実際、楽しいのだろう。
「んふふ、イライラしちゃーうっ」
手の平にボゥッと音を立てて灯ったのは狐火だ。
それをゆっくりと提灯に添える。
火が移り、あっという間に骨組みだけになってしまう。
そのまま線を伝い、次々にほかの提灯も燃やしていく。
中央が紫で、周りがぼんやりと青いそれは
提灯にうつれば、あまりに綺麗だった。
「きれーい!
・・・んー、でもちょーぉっと物たんないかなぁ?」
狐火をともしていた手の平に
今度は妖力を込め、舞台に向けて放つ。
ガッッッシャーーーーーン
それは木々ほどの高さまで舞い上がった。
盛大な音を立てて地に落ちる頃には
元の姿など跡形もなく、鉄パイプの山と化した。