【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第1章 とある山の一角にて
「咲夜ー、紅夜ー」
屋敷の前に着き、2人を呼ぶ。
2人共妖狐で、私の使いだ。
「え?こんなお屋敷、山の中にあったっけ・・・」
「普段人間には見えないようにしてある」
「・・・人間には・・・?」
後ろで呆けている男に教えてやるが
それでも間抜け面は治らない。
「ねぇさま、お帰りなさい」
「あーねーさーまー!」
「「・・・人間?」」
出迎えに来た二人が目を点にしている。
視線が人間と私を往復し頭の上には「?」が浮かんでいる。
それはそうだろう、
私が自ら人間を連れて帰って来たことなんてない。
「煮るなり焼くなり喰うなり好きにしな」
掴んでた手を前に振り出し、離す。
反動でよろけた男は2人に突っ込む。
「わ、あねさま!
これもらっていいんですかー!?」
「珍しいこともあるもんですね、
ねぇさまが人間を連れ帰るだなんて」
咲夜は嬉しそうな顔で男を受け止める。
紅夜は・・・
なにかあったんじゃないかと疑っているのだろう。
この子は心配性だ。
男には見向きもせずこちらを見て問うてくる。