【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
足が地面へ着くと同時に狐へ姿を変える。
下りたのは屋敷の裏、昼寝スポットであり
ノギと会った場所だ。
獣であるため人型よりは狭いが
少々ひらけた場所で足をたたむ。
『ノギ、おいで。
休もう。どこでもいいよ、好きな場所へ』
そう言いながら9本の尾を狭苦しく丸める。
普通の狐よりは毛は柔らかいし
これでさしずめ大きなクッションやらベットとかと言ったとこだろう。
「えっと、じゃぁ・・・」
そっとゆっくり上って来たのは9本の尾の中央辺り。
うん、そこが一番心地良い場所だろう。
ノギが横になったのを確認し
尾は動かさないようにして体を丸くする。
9本のうちの1本でノギを上から包み寒さを防ぐ。
そこまでしてやっと顔を尾に乗せる。
『安心していいよ、ここへは誰も近づけない
おやすみ、ノギ』
ここへは、というのは少し語弊があるが
今はノギへの安心感のための言葉であるため特に関係ない。
「おやすみなさい、彼岸様」
少し擦れたその声を耳にそっと目を伏せる。
少しの間、昨日からの出来事に思いをはせれば
簡単に意識は闇に落ちていった。