【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
【彼岸】
あれから私はノギを山のあちこちへ連れ回り
この山に住む妖たちへの挨拶をさせた。
大方の妖たちには顔を合わせたし、
これでこの山では自由に歩き回れるだろう。
ただ、名の契約の口止めを忘れていたのは痛かった。
常夜以降、ノギも挨拶の際
名の契約を口にすることはなかった。
常夜の空気感を感じ取ったか。
まぁだからこそ、
気にすることはない、と伝えたのだけれど。
そう、ノギは気にする必要はない。
これは私と常夜の問題なのだから。
「ノギ、疲れてはいないか?」
挨拶回りの途中から
ノギに自分の足で空を歩かせているため
きっと疲れているだろう。
そもそも昨日今日で、今までの人生や価値観が
大きく覆されるぐらいの出来事とは出会っているだろうから。
「少し・・・」
遠慮がちにそう言ったノギの顔色は
心なしか青い。
まだ昼過ぎだが、少し休むとしよう。
「ノギ、少し休もうか」
そう手を引いて、山へ下りる。