【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
【ノギ】
〈よそ者には〉
さっき常夜にお気をつけてと言われた時
確かに彼岸はそこを強調するかのように強く言った。
胸の突っかかりが取れない。
常夜は長い付き合いだと、彼岸は言った。
だがあの常夜の変わり様。
それに彼岸の言い方。
過去に何か。
『・・・気にすることないからね。』
そうボソっと呟かれる声。
それは今しがた思考を巡らせていたものに
ストップをかけるには十分すぎる響きだった。
「はい、彼岸様。」
昨日であったばかりの、狐の妖怪。
情が湧くには早すぎる付き合いだ。
でも。
知りたい、と思う。
だが教えてくださいと頼んで聞くような話でもないと思うし
出来れば自分から話してほしいと思うのだ。
それは自らの主だからなのか、それとも。
いつか話してくれるのだろうか。
彼女がどんな人で何を思って自分を傍に置いたのか。
判断するにはまだ早すぎる。