【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
【ノギ】
「ほう、名の契約を・・・」
握った手に力が籠められると同時に
声色が変わったのが分かった。
何か、おかしかったか?
ス、と彼岸が間に入った。
「さて、挨拶回りがあるのでの
この辺りで失礼するよ、常夜」
握られていた手が、彼岸によって解かれる。
「そうですな、ノギ、山の生活を楽しむがいい
それでは彼岸様、お気を付けください。」
「ふふ、そう簡単によそ者には手出しさせぬよ
皆によろしく伝えてくれ。
じゃぁの。ノギ。」
自らの名前を呼ばれたことでハっとする。
握手を交わした辺りで声色が変わった。
最後、別れのあいさつなど、初めとは打って変わり
むき出しになった敵意が肌がビリビリとするほどに感じられた。
「・・・はい。
それでは常夜様、失礼いたします。」
もう一度軽く頭を下げ、いつの間にやら
また狐の姿に戻った彼岸の背に跨る。