【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第1章 とある山の一角にて
「そなた、平気か?」
目の前で硬直している男へ声をかける。
「俺は大丈夫だよ!
あ、いや、大丈夫ではないんだけど!
君のほうが大丈夫じゃないよね!?
ってか不思議なしゃべり方するんだね!」
と、予想していなかった早口でまくしたてられ
今度はこちらが固まりかける。
そうだ、とっさだったから忘れていたが
この話し方は今の時代不自然なんだった。
しばらく下界に行っていないから
そんなこと忘れていた。
「い、いや。
私は大丈夫。ここは、私の山だから。
それで?そっちは迷ったの?」
「私の山!?
え、ここ私有地!?まじか!ごめんなさい!
えっと。
友人と山登りに来てて!けど下りではぐれちゃって
探してるうちに・・・」
語尾にかけて弱まっていく声量。
よほど不安なのだろう。
「私の山と言っても、神社がうちのものってだけだから
私有地ではないよ、大丈夫。
とりあえず、お兄さんうちにきな。」
このままここにいるわけにもいかない、と
男の手を引く。