【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
ノギの声に目を前へ向けると、
鴉天狗たちの群れが視界に入った。
あぁ、そうか、今日の見回りは天狗たちか。
天狗は人を嫌っていないし、
ちょうどいい、挨拶に行くとするか。
『鴉天狗たちだね、挨拶に行こう。』
「挨拶、ですか?」
『うむ、新入りの紹介にな。』
後ろ足で空を蹴り、駆ける。
ぐん、と勢いづいて走り出したからか
うわ、と小さく声がして、
握る手に力が込められたのが分かった。
『鴉天狗』
目の前でゆっくり止まれば
鴉天狗たちの視線がこちらを向く。
「お久しゅうございます彼岸様。」
『変化はないか?』
「えぇ、もちろんですとも。
彼岸様のお力は偉大ですからね。
悪さしようなんて者は早々おりませぬ。
それにしても、久方ぶりにそのお姿を目にしましたが・・・
やはりお美しゅうございますね」
『ふふ、それはありがとう。
ところで、わらわに少々時間をもらってもよいかの?』
「皆を集めたほうが?」
『いや、お主から伝えてくれればよかろう。
ノギ』
名を呼べばはい、と小さく声が返ってくる。
さすがに鴉天狗の集団は少々怖いか。
人獣型に姿と変え、ノギの手を取る。
「え、あ、浮いてる・・・」