【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
妖気や妖術に体が耐えられるか。
初めて体験することに怖気づかないか。
正直心配だったが、この調子では大丈夫そうだ。
『ノギ、もう少し散歩しようか』
まさか、人間を背に乗せる日が来るなど。
思ってもみなかった。
昨晩のことを思い返してみるも、
なぜ連れ帰ったのかも、正直分からない。
ただ、悪い気分ではなかった。
ノギから伝わってくる感情は
多少恐れは混じっていても
純粋な楽しさや感動ばかりだった。
人間なんて、と思っていた頃もあった。
むしろ大嫌いだった。
九尾になるころにはそんなこと忘れていたが、
ただの野良狐の頃は。
妖狐になったのだって
思い返してみれば人間への恨みつらみだった気がする。
・・・気がするだけで、その頃の記憶はないが。
「あれは何です?」
背に寝転がるようにして乗っているため仕方ないが
ノギの声が耳のすぐそばでする。
こいつの声は心地いいが・・・
耳元で話されるとこう、なんというか、
全身の毛が逆立つような、ぞくっとした感覚になる。