第1章 ギャンブル
「えぇ、よろしくお願いします。」
ヌナが丁寧に挨拶してくる。
「「「「お願いします。」」」」
それに合わせるようにみんなが頭を下げた。
みんな、うすうす気づいているのか、夏音を哀れむように見ていた。
そんな中、一人、眼光が鋭いやつがいた。夏蓮だ。双子だからか、いい気はしないのだろう。俺を睨んでいる。
夏音はヌナやらメンバーやら愛されてるな。
特に夏蓮は面倒な相手になりそうだ。今は気づいてないふりをしよう。
「なぁ、俺、夏音より一つ年上だけど、オッパて呼びなよ。」
夏音の部屋に向うエレベーターの中で夏音の短い髪を引っ張りながらいたずらする。
「あれ、同じ年でしょ?今年で24なら、たしか、韓国は0歳ないわよね。1つ年上でも同じ年って聞いたけど?」
俺が怖くないのかからかうように上目使いで笑う。
「韓国にいるなら韓国ルールに従えよ。」
「従うなら、私も24ね。」
「違う、それは日本での年を適応しないと。」
「分りました。ジヨンオッパ、これでいい?」
面倒そうに適当に合わせてくる。
きっとここにいるうちは人間関係諦めてるんだな。社長にも俺にもこんな扱いだし。
「よし、オッパがビビンバ作ってやる。」
適当に言われてもなぜだか嬉しかった。
「こんな時間に食べたら太るからいい。」
「オッパに逆らうのか?今日のリハの後、なんも食べてないってヌナが言ってたぞ。こんな遅くまで練習して早朝にはリハやるんだ。食べろ。」
「分ったわよ。狼は食う前に太らすってことね。」