第2章 ギャンブル 『罪と罰』―ジヨンルート
「私、ここに入っちゃってよかったの?来ちゃってからなんなんだけど、パパラッチとか見られてない?」
部屋に入ると夏音は心配そうに言った。
「…俺は見られていいと思ってる。だけど、夏音には迷惑かけるの嫌だから我慢する…これの意味分かる?」
部屋に入ってやっと夏音のその綺麗な瞳を見つめることができた。
外で見つめてしまえば、パパラッチがいようがファンがいようが抱きしめてキスをしてしまいそうで我慢していた。
もう、離したくないと夏音を抱き寄せて胸に抱く。
「私を好きって言ってくれてるの?」
戸惑うような夏音の声が愛おしいかった。
「…あぁ、好きなんて軽い想いじゃない…愛してる…誰にも取られたくない…社長にもタップヒョンにも…」
俺のその言葉を聞いた夏音は答える代わりにおずおずと俺の背中に手をまわして俺の胸に顔を埋めた。
言葉はもはやいらなかった。互いに抱きしめる腕の強さで互いの想いが伝わってくる。
「無理させてきてごめん…」
それでも俺は謝らずにはいられなかった。
「…うんぅ、無理なんかされてないよ…初めての日は辛かったけど…だんだんにジヨンの気遣いを感じて辛いなんて思う日はなかった。でもね…本当はそのほうが心が辛かったよ。大切にしてくれてると勘違いしてしまいそうでジヨンの恋人になんかなれないのに勘違いしてしまいそうで…だからね、気を失うまで抱いてくれたことありがたかったの…夢では恋人でいられたから…結局は目覚めて虚しくなるのはわかってたけど…つかの間の夢が心の支えだった…」
夏音は俺の胸から顔を上げるとこれまでの日々を思い出しながら幸せだったと呟いて微笑み、俺を許してくれようとする。
「ごめん…これからは悲しくさせないから…」
俺の今までの勝手な振る舞いは許されることではないのに…
俺を見上げて微笑む夏音の目じりにキスを落とす。
夏音の目じりは涙が滲んで甘酸っぱかった。
これまで泣かせてしまった証だった。
それが愛おしくて俺はいつの間にか夏音の顔中にキスの雨を降らせていた。