第2章 ギャンブル 『罪と罰』―ジヨンルート
「どこ行くの?」
戸惑ったような夏音の声が後ろから聞こえた。
「家に…その方が落ち着いて話せるから…」
俺はまだ、腹をくくれていなくて振り向いて夏音の顔を見れないでいた。
大通りに出て、タクシーを拾うと夏音を先に押し込んで座らせる。
自分も後から入ったけど夏音をやっぱり見つめることはできず、そ知らぬふりでよそよそしく隣に座った。
あんなに深い仲だったけど、初めて肩を並べて座る。
こんなに緊張するものだとは思いもしなかった。
二人の間に沈黙が落ちる。静か過ぎて二人の鼓動が微かに聞こえた。鼓動が混ざる。音楽を聴いているみたいだ。
俺の鼓動が速いのは当たり前だけど、夏音の鼓動も速く聞こえててそれがまた俺の鼓動を速くさせた。
「これ…して…」
部屋に入る前にねんのためにかばんからサングラスを取り出してかけてやった。
俺はいいけど、夏音はまだ顔を表には出せない。俺といるとこ目撃されれば、デビューがもっと遠くなる。
男の部屋に入るのは抵抗あると思うけど、夏音は俺が何も言わないから合わせてくれているらしく黙って部屋まで付いて来てくれた。