第2章 ギャンブル 『罪と罰』―ジヨンルート
「あっちも諦めに入ってるのかな?自分を見ないお前に切なそうに目線を向けてた。どんなに視線を向けてもお前が顔を上げないから泣きそうな顔してすぐに正面向き変えたけど…応えてあげないの?」
ヒョンはなんでそんな優しいこと言ってくれるんだろう?
「…怖いよ…ひどいことしてきたから…」
俺がしてきた今までのことをヒョンは少なからず感じ取っているはずなのに…
「ホントにひどいことだったのかな?夏音にとって。」
ヒョンの瞳はまるで俺の今までを知っていて見透かした上で俺のしてきたことを肯定してくれる。
許されることではないのにヒョンだけは許してるみたいにポンと背中を押してくれているようだ。
「………」
ヒョンは俺の夏音に出会うまでの行いを見てきて許してくれたとしか俺は考えつかない。
だからヒョンの許しを受け入れていい男じゃないんだ。
ヒョンはやさしいから俺みたいな奴でも相手がよいというなら自分は身を引くだろう。でも俺がヒョンと同じ立場なら俺はそいつを許してあることなんかできないんだ。
「そんなんだったら奪いとっていい?」
ヒョンはそんな俺のことも見透かして勇気を出せない俺を煽ってくれた。
どこまでやさしいんだよ。
それを言われたら俺は素直に言うしかない。
「だ、ダメ…」
自分にチャンスがあるのにみすみす逃すなんて嫌だ。俺がどんなに最悪なバットボーイでも夏音は渡したくない。
「だったら、話してきなよ。」
歌を歌って引き上げていた夏音が俺をチラッと見た。
でもすぐにテソンたちに改めて挨拶をする。
俺を少し見た夏音にヒョンが言っていたような諦めの匂いがした。
いてもたってもいられず、かばんを掴むとみんなに囲まれている夏音の手をとって、引っ張ると外に向って歩き出した。
夏音は驚いた顔をしていたが、そのままついて来てくれた。