第2章 ギャンブル 『罪と罰』―ジヨンルート
何曲かオリジナルを歌った後、夏音が突如、俺が初めて聴く曲を歌った。
『~♪頬をさす~朝の山手通り~♪』
「まるで、泣いてるみたいな歌だね。」
タップヒョンが呟いた。
「え?」
俺に言われたとは思わなくて聞き返してしまう。
「応えてあげたら?ジヨン…」
悲しそうにヒョンが言う。
意味が分からない。まるで俺に向けて歌っているみたいに言うから戸惑う。
「この歌、よく、俺がいる時に歌ってたから気になってたんだけど…俺に向けてたわけじゃないみたい。今歌って分かったよ。目線はジヨンだった。俺のときに歌ってたのはお前がきてくれなかったと歌ってたんだな。きっと…俺かと期待してたけど、俺の勘違いだったみたい。今日勇気出して歌ったらしい。俺の前では何にも考えずに歌えるのにお前だと気構え必要なんて…妬ける…」
悲しげに苦笑したヒョンの表情は痛々しかった。
ヒョンも夏音に囚われてしまった一人なんだとあらためて実感した。
「俺を見てた?」
俺はもうお払い箱で夏音に見つめられることなんかないと下を向いていた。死刑宣告を受けたみたいに気分は沈んでいたから。
もう、二人で過ごすことなんてないと恋傷に浸っていた。