第1章 ギャンブル
今日も気持ちが止められずにここに来ていた。夏音のもとへ。
いつまでも奴隷扱いでは心が離れていく一方なのに傍にいようとすることは止められなかった。
項垂れながらBarに入ったらよく見た背中と目の前に紗英が微笑んで談笑していた。
あの背中…記憶が正しかったらタップヒョンの背中だ。
なんでここに…
「…ヒョン、なんでいるの?」
「あ、いつもは鉢合わせないのに会っちゃった…」
振り返り、バツが悪そうにヒョンが笑う。
俺ももう少し有利でいたかったのにといたずらが見つかったみたいに舌を出して。
俺はその横に取り合えず、座って問いただした。
聞きたいことが山ほどある。
「まさか、ヒョンも?」
ヒョンもバラすと脅してるのか。俺みたいに?
「ストップ、それ、俺は知りません。知りたくもありません。だからそれ以上その話題は口にするなよ。」
大げさに耳を塞いでアーッと聞きたくないアピールされる。
「じゃぁ、なんで?」
「たまたま、散歩してたらレトロでいい雰囲気の俺好みの古めかしいBarを見つけたから入ったら、ピーコックの店だったわけ。」
なんでもなかったかのようにこんなとこ見つけれるわけもない。
ヒョンと夏音は運命だとでもいうかのような出来事に気分は落ち込んだ。
俺は邪魔者、悪役みたいな立ち位置だ。