第1章 ギャンブル
「本当に綺麗だ…夏音…」
「タップヒョン、恥ずかしいです。」
昔に戻ったみたいな錯覚がおきる。
あいつが言ってるみたい…
眩しそうに瞳を細めるしぐさも似ている。
首筋に唇を寄せるそのしぐさも…
耳元で呟くのも…
違うのは声だけ…
低い子宮に響く声なんてあいつにはなかった。
キスしそうなくらいに近づく顔に吸い込まれそうになる。
「ジヨンじゃなくて俺を好きになって…」
切なげな瞳に吸い込まれてその瞳しか見れなくなる。
「俺は夏音が好きだよ。」
これはいい表情するための演技?
本気でこんなこと言わないよね。
知り合ったばかりだし…
でも信じたくなってしまう。
うぬぼれでもいいから…
次のジヨンが戻ってこないから一時休憩になった。
陣地見舞いだと社長がアイスを持ってくる。
私はシャツを借りてみんなから離れていた。
目立たないようにしていたのにタップが近寄ってくる。
「アイス、食べないの?」
「寒くなるんで。」
さっきのこともあり、あまり関わって自分が傷つくのが嫌で冷たく突き放した。
「さっきの嘘だと思った?」
「え?」
「本気だよ。」
タップがにっこりと微笑む。
「王子に言わなくていいのか?ジヨンのこと、俺のこと」
いつの間にか、社長がこっちに来ていて、変なことを言ってくる。
それがバレて傷がつくのは社長じゃないの?
珍しく、社長らしくない態度に戸惑った。
「俺、知ってる。それで夏音、強請ってもなんともならないから諦めて引いてよ。」
「そうか、好きにすればいい」
社長は諦めたようにスタッフの方に歩いて行った。
「本当に知ってるんですか?それなら―」
「本当は知らない。自分のものみたいに社長が言うから腹が立って…カマをかけた。それに知らなくてもいいことだ。俺の気持ちには変わりはないから。どんなことでも。だから、考えといて。」
あいつと似てるなんて言ったけど性格は似てない。
気にしいのあいつとは似ても似つかないくらいにかっこいい人だ。