第1章 その名を呼ぶ。
死屍累々。
いや、誰も死んでないから違うか。
商店街の大通りにて、数十人の人達が倒れている中で私だけが立っていた。
ほんの数分前まで友達を助けて欲しいと泣いていた青年も、酷い怪我を負っていた青年も。
非日常であろう出来事を目の当たりにしていた野次馬も、1人残らずコンクリートの地面に倒れている。
・・・力を使うのが久々すぎてやりすぎた訳ではない。・・・多分。
月音「・・・さーてと、やる事もやり終わったしあとはあの子に・・・いやたまには自分でやろっかな。・・・ん?」
後の事を彼に任せるか、それとも自分で全部やるか迷ってると気配を感じた。
知ってるようで知らない気配。
これは・・・・・・。
気配に続いて足音が聞こえて、そちらに目を向ければどこかの学校の制服っぽい服装をした少年が居た。
月音「・・・・・・えーっと、初めまして?」
背の低い黒髪の少年「・・・貴様は誰だ、一体ここで何をしていた?」
月音「何を・・・って言われても。
多分少年かその知り合いがここに来てやろうとしていた1番初めの行動・・・かな?」
背の低い黒髪の少年「1番初めの行動・・・?
・・・・・・僕が質問をしたのは貴様が、今ここに倒れている人間にどこまでの事をしたのかと言う事だ」
月音「うわー、ものっそい怪しまれてるなあ。
ははー。そんな警戒しないでよ。
少なくとも、私には少年に攻撃する気は更々無いよ。
私はただ・・・ここに倒れてる人達の記憶から、ついさっきの出来事を無かった事にしただけだよ」
背の低い黒髪の少年「無かった事に、だと・・・?
・・・・・・・・・と言うか、なんなんださっきから!」
月音「え、何が?」
背の低い黒髪の少年「黙って聞いていれば少年少年と!?僕は高校生だぞ!」
何を言われるかと思えば。
どうやらこの少年、私からの少年呼ばわりされてるのが癇(かん)に障ったらしい。
そうは言っても、少年には悪いけど私の目にはとてもじゃないけど・・・少年はギリギリ中3くらいにしか見e「僕は、高校生だ!!」・・・コーコーセー、だそうデス。