• テキストサイズ

魔界はーれむ。【R-18】

第1章 魔界


「とりあえず、今日は休め。人間界から渡ってきたんだ。身体的にも疲れているはずだ。部屋に案内させよう」

確かに、私の体力は限界を迎えていた。でも、そんなことを忘れてしまうかのような、今のこの現状に目眩がした。

「おい、さやかを案内しろ」

すると、閉まりっぱなしだった扉から1人中へ入ってきた。私をここに連れてきたような鎧を着た兵士のような人ではなく、よくドラマなどであるような執事のような服を着たショートカットの少女だった。金の糸のように輝く艶やかな髪に、淡いライトブルーの瞳。とても、愛らしい顔だ。

「私、男です」

「え………?」

澄み切ったその声で紡いだ言葉が衝撃的すぎて、私の思考がついていかなかった。

そのまま本日何度目かのフリーズをしていると、近くでその様子を見ていた『魔王』が声を上げて笑いだした。

「くく………くはっ、ははははっ!」

「な、なに……」

少し………いや、かなりドン引きしながら、そう尋ねると、腹を抱えながらも説明をしてくれた。

「そいつはミアーシェ。正真正銘男だ。詳しいことは明日話そう。とにかく、今日はもう休め」

ミアーシェが、こちらです、と扉を押さえてくれる。でも私は、この王室を出る前に、『魔王』にひとつ問いかけた。

「あんたの名前は?」

突然の問いに彼は少し驚いた様に目を見開き、そしてふっと微笑んだ。

「俺の名は、ルシファムだ。また明日な、さやか」

「………うん、また明日」

今日は少し疲れすぎた。
ミアーシェに案内されるがまま、ふらふらと用意してくれた客室に向かった。

**********

用意してくれた客室は、もうすっ…………ごーく!広かった。広すぎて落ちつかない。

天蓋つきのベッドに、きらびやかな装飾が施されたドレッサーと、それとお揃いのテーブルと椅子。

落ちつかないっ!

「そんなこと言わず、慣れてください。そして、ここは貴女の自室となる部屋です。好きな様に変えていただいても構いません」

「え……?」

声に出したつもりはなかったのだけど、うっかり漏れてしまったようだ。

「私は貴女様の身の回りのお世話をさせて頂きます、ミアーシェと申します。お好きな様にお呼びくださいませ」

ついに私の専属の執事さんまでついちゃった………。
/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp