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魔界はーれむ。【R-18】

第5章 変化


「ん……」

いつの間にか眠ってしまっていたらしい。泣いて赤く腫れた目を擦りながら、起き上がる。

ぐうぅぅぅぅ。

そういえば、晩ごはん何も食べていない。私はそっと部屋を出た。多分、今なら見張りの兵士くらいしかいないはずだ。出来れば誰にも見つかりたくない。

「っ……!」

2、3人ほど足音が聞こえてきたから、咄嗟にすぐそこにあった柱に身を隠す。だが、彼らはこちらに向かってきているから、おそらく見つかるだろう。どうしてそこまでして隠れたいのはわからない。多分、弱いところを見られたくないんだ。そんなところを誰かに見られて笑われるのがいやなんだ。

私はすぐそばにあった部屋の扉を開けて、中に入った。

「…………」

見回りの兵たちの足音が通り過ぎるまで息を潜める。あと、もうすぐ………あと…………

「あっれー?王女サマじゃーん」

「〜〜ー………っ!」

誤算だ!まさかこの人がいたとは……!
久しぶりに登場、サーシャだ。

私はジェスチャーで必死に黙ってほしいと伝える。王道の、人差し指を立てて、しーっ。

「え?キスして欲しいの?しょーがないなぁー」

違うわ!

私はサーシャの頭を軽く叩いた。

「うわっ、暴力はんたーい」

あーもう、どうしよう!
兵士たちが『あれ、なんかいるぞ』って言って入ってきたら!

「だいじょーぶ。誰も入ってこないからさ」

「……え?」

「だってここ………」

サーシャがいたずらっぽくにこっと笑う。

「俺の部屋だもん」
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