第5章 変化
「さっきまでユーリちゃんとシィラと家族ごっこをして、疲れきっている私を呼び出すなんていい度胸ね!それに見合った話じゃないと、怒るから!」
そう。
この城の主は疲れきった私を容赦なく呼び出したのだ。ふかふかのベッドに寝転がり、ああ、すぐそこに夢の羊(ドリームシープ)ちゃんたちがぁ……ってなっていた時に呼び出されたのだ。そりゃ怒る。
「もう怒ってるじゃねぇか。まあ、そういう所もお前のいい所だ。その……なんて言うんだ………俺は……好き、だ」
「うがぁああっ!」
人に好きだなんて言われたことないけどさ!でもなんか、いやだ!こんな好意いや!
大体、なに!?
俺は………好き、だ…………うわっ!鳥肌!
ゼラのことはそこまで嫌いじゃない。嫌いじゃないけど!なんで、そう乙女チックな反応するわけ!?ポッて頬を赤く染めて、もじもじ………。
「夫人様、落ち着いてくださいませ」
「だから!夫人様じゃ!ないって!何回言ったら!分かるの!」
少し力み過ぎたみたいだ。
でも、シィラが夫人様とか言うせいで………ほら、ゼラがもっと乙女になっちゃったじゃんか。
「し、シィラっ………!まだ気が早い、からっ!」
よくある女主人公って、こういうことされても相手が自分のこと好きってことに気づかないじゃん?でも、これはさすがにいくら鈍感でも気づく。いっそのこと、よくある恋愛小説の主人公みたいに気づきたくないくらいだ。いやもう、気づかないふりでもしたい。
「もうっ!照れなくていいから、早く話!」
まったく………。
話があるからってきたのに。
っていうか、家族ごっこよりも疲れる。