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魔界はーれむ。【R-18】

第5章 変化


【ルシファムside】

「ルシファム様っ!城下で開催される式典に出席しなければならないんですよ!?」

「ああ、分かってる……」

「でしたら、なぜまだ寝間着姿のままなのですか!もう民は集まり、ルシファム様を待っております!」

「ああ、そうだな……」

「ど、どこに行かれるのですか!?」

「皆の元に……」

「先に身支度を………って、ルシファム様!待ってください!!」

だめだな……。
ここ最近、何もする気になれない。何にも手をつけられない。

「そんなにさやか様が恋しいのなら、なぜゼラ様方の元に行くように、と指示されたのですか」

今のミアーシェの聞き方は、質問というよりは責めている感じだ。あいつをゼラの元へと行かせたことについて、俺を責めている。当たり前のことだ。

「言えない」

そんなこと、言えるわけがない。
だって、俺はあいつを……………。

「では、私がさやか様を迎えに行きます」

胸がずきんと痛んだ。

「っ………」

「ルシファム様、私はさやか様が好きです。主従関係としてではなく、一人の女性として好きなのです。許されぬことなのはわかっています。だから、この想いをさやか様に伝えようなんて思っておりません。ただ………、好きなひとが今悲しんでいるのかもしれないというのに、じっとしていられないんです」

ミアーシェがさやかを……?

いや、本当は気づいていたはずだ。
ミアーシェはあいつが好きだって………。

「そうかよ。俺には関係ないな」

「なら、なぜ苛立っておられるのですか?」

「苛立ってなんか────」

「苛立つとそうやって頭を掻く癖、まだ治りませんね」

「ちが────」

「図星をさされると、耳がぴくりと動く癖も」

やっぱり、ミアーシェには敵わない。
目の前でミアーシェが、何百年使えたと思っているのですか、と微笑む。

「ルシファム様。私はさやか様の元へ行きます。貴方様はどうされますか?」

そんなの、決まってる。
俺がどんな理由であいつに近づいたとしても、この想いは変わらない。変わるわけがないんだ。

「行くに決まってる。夜明けに向かうとするか」

まずは式典に出ないと……。
あ、その前に。

「俺、さやかのこと好きだから」

知ってました、とミアーシェがまた微笑んだ。
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