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魔界はーれむ。【R-18】

第5章 変化


「そ、そうだ!ユーリちゃん、このお菓子を持ってお庭に行かない?ぱぱも連れて」

私の提案にユーリちゃんが目を輝かせた。

「ぴくにっく!」

「そうそう、ピクニック!」

お仕事に無理やり行かされ、部屋の隅で待機しているぱぱことシィラを連れて庭に出た。

「ラ・ルイーゼはないのね」

「ら……るい、ぜ?」

「うん、そうだよ。すごく綺麗なお花なの」

結構気に入っていたのだけれど。

というか。

「なに、この不気味な花」

『ウォウ!ウ、ウウウ』という、不気味な声を出す花。っていうか花に声とかあるの?

「それはツンデレ、という花です」

「ツンデレ?」

ツンデレってあれだよね?
普段ツンツンしてる子が時々デレるっていうあのツンデレ。一時期流行ったからねぇ。

それで?
そのツンデレがなんだって?

「ええ、その花の名前です」

深い緑の花を咲かせるお世辞にも綺麗とは言えない花。しかも、なんか顔がついてるし。近づいてみると、閉じていた花がぱかりと開き、花びらに隠された口が丸見えになる。どうやら威嚇されているみたいだ。

「ちょっとこれ、抜いてみてもいい?」

少し興味が湧いたのだ。

「ええ、もちろんでございます」

持ちたくはなかったけど、彼のウエスト(花の茎の部分)を握って土から引っこ抜く。

『イヤァーーーーン』

「は?」

あまりにも気持ちの悪い声を上げるから、私は思わず手を離した。彼(花)は体をくねくねと曲げてなぜか恥ずかしそうにもじもじする。そして、花弁の外側に付いていた目は何も無い宙をさまよっている。さっきまで、あんなに私を睨んできたのに。しかも、顔(花の部分)にほんのりと朱がさしている。

「うわ………ほんとにツンデレ……」
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