• テキストサイズ

魔界はーれむ。【R-18】

第5章 変化


「何して遊ぼっか」

「えっとね、ユーリね、おままごとしたいのっ」

ふぁあああっ!
癒されるぅうう!

「そっかそっかぁ!おままごとね。ユーリちゃんは何役をしたい?」

ベッドの上にちょこんと座り、楽しそうにそのままぴょんぴょん跳ねる。

「ユーリはねっ、おねいちゃん役するのっ」

お姉ちゃんが言えなくて、おねいちゃん、って言うところにすごく愛らしさを感じるっ!あー、今ならロリコンさん方の気持ちが分かる。わかるよっ!

「だから、おねいちゃんはね、まま役するの!父様はね、ぱぱ役するのっ」

「私もですか!?」

嫌な素振りを見せるシィラを横目でじとーっと見つめる。いや、睨む。こんな可愛い子の言うことさえも聞けないの?という想いを込めて。

「分かりました。ぱぱ役、ですね」

顔は思いっきり嫌そうだけど、とりあえずは良しとする。

「それじゃあね、ぱぱはお仕事行ってきてっ」

「え?」

「お仕事に行くのっ」

シィラ、子供に負ける。
それを見た私、密かに嘲笑う。

「いってらっしゃい、あ・な・た♡」

「………いってきます」

え、すんごい嫌な目で見られたんだけど。

「ままー、お腹空いたのーっ」

「そうなの?じゃあ、何か食べよっか」

テーブルの上に置いてあるお菓子を食べるため、一度ユーリちゃんを抱き抱えてベッドから下ろす。すると、ユーリちゃんが私の手をぎゅっと握る。

「ままの手、冷たいの」

「………ユーリちゃんの手は温かいね」

人の温もりなんて随分と感じていなかったからかな。もう、冷えきっちゃってるんだ。

『気持ち悪いんだよっ、妖怪女!』

「っ…………!」

肩がびくりと揺れ、ユーリちゃんの手を解いてしまう。何事か、とユーリちゃんが不安げに私を見つめた。こんな小さな子にこんな顔させるなんて、だめな大人だな。

でも、私はもう一度ユーリちゃんの手を握ることが出来なかった。
/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp