第5章 変化
「ユーリちゃんって言うんだよね。いくつなの?」
ほらほら、よくあるやつ。
人見知りしちゃう小さな子にまずは年齢を聞くっていうね。でもね、ここではしない方がよかったのかもしれない。
「ユーリはね、56歳っ」
「うおぅっ!」
ごじゅう、ろく。
ごじゅう☆ろく。
fifty six。
五十六。
10×5+1×6=56。
私よりもかなり年上だ。
私は今、20だ。2倍してもこの子の年齢に届かない。
え、じゃあ、ユーリちゃん、とか失礼なんじゃ……?ユーリさん?でも見た目は私より年下だからさん付けにしちゃうと、すっごい情けない大人みたいだし……。
あ、そういえばルシファムも220歳くらいってサーシャが言ってたっけ?サーシャが確か……190くらいでゼラが270くらいって………言ってた……気がする。
「申し忘れておりましたが、魔界は人間界よりも時の流れが速いのです。約10倍の速さとされております。つまり、貴女様が考えてらっしゃる年齢を10倍、もしくは、私共魔族の年齢を10分の1倍に換算すればいいかと」
ってことは……56歳って5歳くらいってこと?安心したというか、変な感じというか………。
え、待って。10倍?
ここに来て大体2ヶ月だから……人間界ではまだ1週間も経ってないじゃない!私がここで1日過ごしても、向こうでは2.4時間しか経ってないってこと!?こっちで1時間過ごしても、向こうでは6分!?
ってことは……私は今、200歳!?
「よかった………!ユーリちゃんより年上だ!」
シィラがぼそりと『そこを気にしてたんですか』と呟いた。
のが、聞こえた気がした。