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魔界はーれむ。【R-18】

第5章 変化


この城での生活は暇だ。
何もすることが無い。ただ、ずーっと部屋に篭っているだけだ。

「ひーまーだーなー」

って独り言にしてはかなり大きな声で呟いてみても、シィラは知らんぷり。絶対聞こえてるでしょ。

「シィラ、なんか話さない?」

「今日も魔界の空は黒いですね。ドラゴンは元気そうに見えます。おそらく、今日は湿度が高く、空気にも多くの栄養が含まれているのでしょう。ドラゴンは湿度が高い時に発生する、空気中の栄養を摂取しますので。魔界、十万年の歴史を語りましょうか。貴女様もご存知になられた方がよろしいのではないでしょうか。それではまずこの魔界の誕生から────」

「はい、ストーップ」

いつか学ばなきゃダメだろうけど、正直興味ない。雑談とかしたいのに、どうして、天気→ドラゴン→じゃあ歴史について、になるの。昔っから思ってたけど、賢い人の考えてることって分かんないわー。

「サーシャでも捕まえるかなー」

いや、でもサーシャはちょっとノリについていけないし……。ゼラはゼラでめんどくさいし……。ってなったら、部屋にいるしかなくなるんだよね。

結論。
結局、部屋で大人しくするのが一番。

毎日これの繰り返し。
この思考の繰り返しにもそろそろ飽きてきた。

そんな時だった。

部屋の扉がノックされ、ガチャリと音を立てて開く。

「父様……、お仕事、まだ………?」

目線を下げると、そこには小さな女の子が扉から顔を覗かせていた。

「ユーリっ!それまでメイド達と遊んでおくように言ったでしょう?私は忙しいのです。さあ、早く出ていきなさい」

え、父様ってシィラのこと!?
こんな人に父親なんて………ねえ?

「いいじゃないの。おいで、お姉ちゃんと一緒に遊ぼう」

恐る恐る扉の隙間から部屋に足を踏み入れる。可愛い。可愛すぎる。

ピンクのふわりとしたワンピースに身を包み、薄い桃色の髪をツインテールで結っている。まさに、プリンセスって感じで可愛い。

私は思わずシィラと見比べた。

「…………」

似てない。
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