第5章 変化
私が何を隠してるか?
私が何を騙しているか?
質問の意図がわからない。
いや、分かりたくない。
向こうの城での日々は楽しかった。人間界にいた頃では想像出来ないほどの楽しさを知った。初めて心が温かくなった。
こんな怪物でも。妖怪でも。人間もどきでも。
心を持てた気がした。
そう、あくまで気がしただけ。勘違いをしてはいけない。私だってそこまで求めてない。
私が必要とされる日なんて来ないに決まってる。人を信じれば、それと同じくらいの………いや、それ以上の裏切りが、悲しみが、絶望が待っている。それくらい、私だって知ってる。
私は初めて笑えたと思った。
リアムとゼラのやり取りを見て、初めて声にして笑えた気がした。
でも、やっぱり違うかった。
笑えた気がしただけだった。あれは偽物だった。きっとそう。やっぱり私は怪物なんだ。妖怪女なんだ。人間もどきなんだ。
この冷たい部屋の中で、私まで冷たくなっていくのを感じながら、私はそっと目を閉じた。
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【ルシファムside】
リアムとミアーシェに責められた。
なぜさやかをゼラの元にやったのか、と。
俺は何も言い返せない。
言い返せる資格がない。
俺があいつがゼラの元に行くのを許可したというのに、心の中にぽっかりと穴が空いたみたいだ。なんとも言えない空虚感。怒り。
でも、それをぶつける場所がない。自分自身にその全てを向けるしかない。
全ては俺が招いたことなんだ。
俺には謝る資格もなければ、想いを伝える資格もない。だが、想うだけならば許されるだろうか。
好きだ。
大好きだ、さやか………。