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魔界はーれむ。【R-18】

第5章 変化


丸一日馬車を走らせて、ようやく目的地に着く。馬車ってほんと、不便。道は整備されてないから揺れるし、その振動が直に伝わってきて腰が痛くなるし。腰を押さえて左右に振ると、コキコキっと骨が鳴る。

「早く行くぞ」

せっかちなゼラはもうすでに門の中に入っていた。私は文句を言いながら後について行く。

ゼラとサーシャの城はルシファムの城とよく似ていた。外観だけではない。中もかなり似ている。それを感想として述べると、ゼラに睨まれた。同じにするな、と。なんでも、ゼラにはゼラのこだわりがあるらしい。全く分からないけど。

「お前の部屋はここだ。好きに使え」

天蓋付きのベッドも、きらびやかな装飾が施されたテーブルもドレッサーも、見飽きた。ただ華やかで豪華なだけで、冷たい。そこに温かさはない。

「………お前さ」

案内された部屋から出ようとしたゼラがふと足を止めた。

「なんで文句の一つも言わねぇんだ?どう考えても理不尽すぎんだろ。戻りてぇとか思わねぇの?」

…………。

「あんたがそれ言う?あんたが私をここに連れてきたんじゃない」

「それはそうだが………あっさりと受け止めすぎじゃねぇか?ルシファムの城で俺の城に来いって言った時、お前走ってどっか行っただろ?だけどそれっきりで、なんの抵抗もしねぇ。何があったんだ?」

「何も無いに決まってるじゃない」

「お前は何を隠してる?」

…………。

「隠してない」

「何を騙してる?」

「騙してない」

「お前は────」

「うるさいっ!!!」

ゼラが息を呑む声が聞こえた。

「………ちょっと、一人にしてくれない?」

私の言葉にゼラは何か言おうと口を開き、そのまま閉じる。そして、何も言わず出ていった。
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