第4章 来客
「あー!キミが王女サマ?」
食堂に入るなり視界に飛び込んできたのはこれまた美形男子。紫っぽい髪に、深みのある赤い瞳。
…………え?
紫の髪に赤い瞳………?
「う、宇宙人………!?」
「ウチュ……ジン?」
ほらほらほら!
なんか発音変だし!!
「ウチュ、ジンって?ボク、聞いたことないんだけど」
落ち着け、私。
ここは魔界だ。宇宙人なんているわけない。うん。
「ま、いーや。ボクはサーシャ。ちなみにゼラの弟」
ゼラの………弟!?
兄弟ってこんなにも似ないものなの?ルシファムとリアムも、ゼラとサーシャもぜんっぜん似てない。
どちらも美形なのは変わりないが、髪の色が違う。茶色の髪をもつゼラと紫の髪をもつサーシャ。違いすぎる。瞳はどちらも赫眼なのだが、それでもどこか色味が違う気がする。
「ゼラの弟……」
さぞかし性格も悪いのだろう。
………という偏見。
「よろしくね、王女サマ」
サーシャが私の前に膝まづき、手を取った。何をするのかと首をかしげながら見ていると、私の中に警鐘が鳴り響いた。やばい、手を引け、と。
だが、もう時はすでに遅し。
ちゅっと軽い音を立ててサーシャが私の手の甲に口付けていた。そして、『どう?ボク、カッコいいでしょ?』とばかりに上目遣いを巧みに使いこなし、私にウィンクをする。カッコいいかって?
ふっつーにすんごいカッコいいよ、こんにゃろ!
「あ、あはは………」
なぜここで(非常に冷めた)笑い声が漏れたのか自分でも不思議だ。
とりあえず、これだけは言える。
この面倒くさい来客達。しかも兄弟。ルシファムとの間に何かありそうな感じ。
もうね、これ絶対
めんっどくさいことになるよ。