第4章 来客
【ゼラside】
案内された部屋にあるベッドに腰掛ける。頭に浮かぶのはあの女のことばかり。
「どうやって持ち帰るか………」
あんな女は初めてだ。
俺の正体を知っても態度を変えない。それがどうした、とでも言うように俺を睨みつけてきた。宝石や金にも釣られない。見た目もなかなかのものだった。
だが、疑問もある。
なぜ、あの女が魔界に来たのか。
今まで人間界で生きてきたと聞いた。自分が魔族だということを知らなかったのだから、そのまま人間界で暮らすことも出来たはずだ。なのに、ルシファムのやつはあの女を呼んだ。
まさかルシファムのやつ………
「あっれー?そんな難しい顔しちゃって〜。どーしたのー?兄さん」
「チッ…………お前かよ。気持ち悪ぃ呼び方すんな」
「兄さんって呼んだだけじゃん?兄さんの顔、すごいことになってるよ。眉間にシワ寄っちゃって〜。らしくないねー?」
胡散臭いやつだ。
昔っからこいつがとにかく苦手だ。
「そんなことよりさ……兄さん、王女サマに会ったんでしょ?」
「ああ」
「どーだった?噂通りの美人さん?そこらの女達と一緒、とか嫌だからね?」
この女好きが。
いや、まあ俺も女は好きだが。
「さあな。てめぇの目で確かめろ」
冷たいなぁ、とにやりと笑いながら部屋を出ていく。ほんと、迷惑なやつ。
まあ、あいつのことなんかどうでもいい。
ルシファムがあの女をどう思おうが、あいつはあの女を手放さなければならない。俺が欲しいといえば断れないはずだ。
もし、俺の考えていることがあっていれば、の話だが。
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「さやか様、今晩の夕食にはゼラ様方もいらっしゃいますが、食堂でお食べになられますか?」
私は少し考えてから、返事を返す。
「うん、そうする。一応、王女になっちゃったんだもん。礼儀として私も参加しないと」
私は食堂へと向かうべく、ミアーシェに付いていく。
ゼラ様方、とはどういうことだろうか。