第4章 来客
美的センスの違い…………か。
ここまでくるとなんか怖いなぁ。
「おいリアム。お前の兄貴はどこにいる?」
190cmはあるであろう高身長で、175くらいのリアムを見下ろす。リアムも(私からしたら)背は高いのに、彼を易々と見下ろせる彼がうらやまs………いや、見下ろせる彼の背の高さに驚く。
「教えてもいいけど、さやかは連れて行ったらだめ」
なぜかリアムが挑発気味だ。
いや、なぜも何も彼相手だからか。そう納得出来てしまう彼の人徳の無さ。逆に可哀想だ。
「はあ?俺は客だぞ?んなクチきいていいのかよ」
「うん」
即答!?
思わず笑×100を付けそうになる。
「ああ?なめてんのか?」
「舐めたらまずそうだから舐めるわけない」
リアム、純粋すぎるよ。
その『舐める』で意味を捉えちゃったのね。
「ケンカ売ってんのかよ!?」
「ケンカって売れるの?ゼラはケンカを買えるの?」
もうちょっと………むり………!
「っくく…………あはははははははっ!」
私の奥からどんどんと笑いが込み上げてくる。最近笑ってなかったからだろうか。いや、私が今まで笑ったことなどあっただろうか。ここに来るまで微笑んだことすらなかったかもしれない。
「あはははっ、ちょっ、止まんないっ」
笑いすぎて目尻が濡れてくる。
そして、そのまま頬を伝う。
「さやか………?どうして泣いてるの?」
リアムが心配そうに私を見つめる。
「なんで、だろ?笑いすぎたのかな」
だんだんと落ち着きを取り戻し、涙も止まった。
「ちょっと、部屋に戻るね」
私は少し冷静にならなければならない。それに、笑うのって意外と疲れる。
私は、何が起きているのか分からない、という顔をしたふたりに背を向けて自室へと向かった。