第4章 来客
「まあまあ落ち着けって。別に俺はお前をけなしているわけじゃねえ」
いやいや、十分けなされてますけど?
「なあ、お前もそう思うだろ、リアム?」
「ゼラに賛成したくないけど………僕もそう思う。さやかはこの魔界で一番綺麗だよ」
んー?
いや、まあね、確かにさっきはけなされているのか、と怒ったけどさすがにそこまで言われると後ずさりしちゃうっていうか………。だって、見てよ。現に今、私は後ずさってる訳だし。
「あの、地味顔って言われたことに対しては怒っ…………てはないけど!」
あー、私のプライド邪魔。
「ごほんっ!えーっと…………あ、そうそう。さすがに魔界で一番綺麗っていうのは絶対にありえない、というか………」
この際認めるが、確かに私は地味顔だ。
今まで20年間生きてきた。が、モテ期なんて来たことがない。どちらかというと、クラスに一人いるかいないかレベルの地味女子。地味な子と絡むのさえしんどい地味女子。一目置かれる地味女子。高校でスカートを折っている子がたくさんいる中で、校則を守り続けた地味女子。だけど、敵度に授業をサボった地味女子。胸ポケットに音楽プレーヤー入れて、袖にイヤホン通して頬ずえつきながら授業中に音楽聴いてた地味女子。
うん、絶対に綺麗とか…………
ない!
ありえない!
「どうして?僕が今まで見てきた女の人の中で一番綺麗だよ?」
リアムの意見にゼラも賛成する。
「俺もだ。たくさんの女を見てきたが、お前が一番だな。それに威勢もいい」
城下にたくさんの美人さんがいたじゃない?人間界にいたら即モデル行きだなっていう女の人ばかりだったじゃない?逆にそれ以外の子、いなかったじゃない?城に仕えてるメイドさん達だって、人間界のメイドマニアさん達が一目見たら地球の裏側まで追っかけるよレベルに可愛かったじゃない?それでも、私なの?
「あ……………」
もしかして…………美的センスの違いっていうやつ?綺麗な子が多すぎて、逆に私が目立っちゃってる感じ?