第4章 来客
「髪が黒い………。お前が………王女………?」
あー、ちょっと………いや、かなりピンチ。こんなめんどくさい人に目を付けられたくなかったのに………。と、恨みを込めた目でリアムを見るが、彼が純粋無垢が為に責められない。
「んなわけ…………あるのか?」
ええ、あるんです。とは言えない。
「あはは…………さあ?どうなんだろー?」
「うん、ある」
あっれぇー?リアムくーん?
出来れば空気を読んで欲しかったなぁー?
「お前があの………」
「………あのってどれを指しているのか分からないけど、確かに私が王女ってことになってる」
「っつっても目は茶色だぞ」
ゼラが私の目を覗きながら首を傾げる。そういえば、コンタクトをしたままだったと気づく。取るのに少し時間がかかるからどうしようか、と悩んでいるとゼラが短く何かを唱えた。
「え?ちょ、は?」
何か目に違和感を感じたと思うと、目から何かがぽろっと落ちた。
「こ、コンタクトが………」
「へぇ………本物、か」
ゼラの魔力で取った、ということだろうか。それがどれほどの難易度のものかはさすがに分かる。ここで暮らして一ヶ月以上は経っているのだ。分かるに決まっている。私の目に付いたコンタクトだけを取る、というイメージを脳内で行って実践するのだ。よほどの集中力、イメージ力が必要となる。
「ますます気に入った!その漆黒の瞳に髪、そして地味な顔!」
「ああ?」
少しドスの効いた声になってしまった。が、許してほしい。全体的にツッコミどころはたくさんあるが…………特に一番最後!
「地味な顔………?ええ、そうね。確かにあんた達に比べれば地味な顔よ。だけどね、この黒い目も髪も、日本人なら誰しも持って生まれる。優性遺伝なのよ!そしてあんたが言う地味な顔っていうのもアジアならではの個性。その中でも特に地味な顔なのは私の個性!でも私は私自身のこの地味顔をコンプレックスに思ったことはないわ。うん、思ってない。ぜんっぜん、思ってないんだから!」
地味顔………。
それ、私の一番のコンプレックスね。