第4章 来客
喧嘩腰からのデートの誘い。
おいおい姉ちゃん痛いじゃないのー、ちょっとツラ貸せやからのお茶のお誘い。
まさか…………新手のナンパの仕方!?
いや、ないないないない!
急展開すぎて頭がついていかない。今どきの少女漫画でもこんなにドラマ的超展開なんてないというのに。
「なあ、欲しいモンねえか?」
いわゆる『俺金いっぱいあるからなんか買ってやるよ。な?これで俺に惚れただろ?』的な金持ちの発想だ。
「特にない」
じゃあ、とまだ食い下がる。
「なんかして欲しいことは!?」
あれだね。
モテないのも嫌だけど、こんなモテ方は嫌だ。わがままかもしれないが、嫌なものは嫌なのだ。まあ確かに?顔はそれなりに美形だけど?でもだから何?私に言わせれば、『え?なに?イケメン?何それ、美味しいの?』レベルだ。
「強いていうなら、一人にしてほしい」
「そういう素っ気ない態度もいい!」
あーあ。
頭がどうかしちゃってるよ、この人。
おーい、誰かー。警察とかいませーん?あ、でもここは魔界だからないに決まってるか。だったら城に戻る?うん。そうしよう。
「私、今から帰るので」
「ならば、俺が送っていこう」
と、しれっと私についてくる。
いやいやいやいや。
私が帰るのってお城なんで。見えます?ずどーんって建ってるあの建物。古代ローマ帝国の中にあるドラキュラ城みたいな城。
さすがにバレるのはやばい、と私は笑顔でやんわりと断る。でもそこで食い下がるのがこの巨人。
「だったら、今から俺の行くところについてくればいい」
なんでその発想に………?
私はやんわりではダメだと思い、強めの口調で断る。
「だからいいって言ってるでしょう!?」
でも、私のそんな言葉には全く聞く耳を持たない。
「今からあそこに行くんだ。あんたもどうだ?」
私は自分の目を疑った。視力2.0のこの視力を!
彼があそこだ、と指さしたのは紛れもなく、私が帰る場所………城だったのだ。
そう。
古代ローマ帝国に建つ、ドラキュラ城。