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魔界はーれむ。【R-18】

第1章 魔界


「うぅっ、なんでこんなことに……」

私はなぜかお城のような所に連れてこられた。

「ばかだ……ばかやろーだ……」

あんな渦にどうして手を突っ込んでしまったのか。今の私からすれば、謎しかない。私の人生の中での七不思議のうちのひとつに入るほどに!

このまま処刑されるのだろうか……。

私は誰もいない玉座の前でただひとり、見張りさえもいない状態で座り込んでいた。

「□☆♪※〜!*」

「はあ?」

思わず喧嘩腰で聞き返してしまった。あまりにも理不尽すぎる状況下に置かれてしまったからだろうか。

ただ、本当に何を言っているのか分からないのだ。

こつ、こつ……と、ホールに響く甲高い足音。一体どんなやつなのか、と私は俯けていた顔を上げた。

「ほぉ………」

なかなか悪くない。

正体は男だった。
それも、かなり高貴そうな。

私と同じく、黒の服を身にまとい、腰にはなんとも強そうな剣を下げている。

そして驚くはその端正な顔立ち。
筋の通った高い鼻に、少し薄めの形のいい唇。少し釣り上がった目に光る瞳は彼の髪に負けないほどに深い黒。

でも、やっぱり………

「△☆?※♨◆!」

「はあ?なんて?」

何言っているか分からない。

目の前の彼は私の目の前にしゃがみ、整った形の眉をひそめ、悩む仕草を見せた。

「な、なんなのよ……」

強がっては見せるけど、怖い。




だって…………、オーラが見えないから。




彼は急に何かをぶつぶつと唱えだした。人差し指を立て、自らの口の前へと持っていき、そっと瞼を閉じる。彼のまつげの長さに驚きを隠せないでいると、彼の目の前に紫の光る結界のようなものが現れた。

「へ?は?へ??」

その光が私の中に入ってくる。痛くもなんともない。ただ、少しだけ頭がくらっとした。

「おい、どうだ」

「はあ?どうだって何が?」

ん………?
え、今………

「なんで日本語喋ってんの!?」

さっきまで、宇宙人みたいな変な言葉しか喋ってなかったのに………。

すると、目の前の彼が馬鹿にしたように鼻で笑った。

「それは違うな。お前が俺と同じ言葉を喋ってんだよ」

頭の理解が追いつかない私を知ってか知らないでか、また意味深な笑みを浮かべた。

「ま、とりあえず………。よく来たな、さやか」
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