第3章 白い皇子
「は?どういうことだ?」
そして私は昨夜リアムに助けてもらったこと、話し相手になってもらっていたことを話した。
「それで?なんでルシファムはリアムを探していたの?」
私がルシファムに尋ねると、なぜかリアムが答えてくれた。
「兄様はね、毎日僕の部屋に食事を運んでくれるんだ。でも、今日の朝食が運ばれる前に僕が部屋を出ちゃったから探してくれてたんだと思う」
いつの間にかリアムは挙動不審じゃなくなり、敬語もなくなっている。こっちの方がずっと話しやすい。
毎日部屋に食事を運んでくれていた、なんて、すごく大事にされてるじゃない。
「そうなのね。というか、ルシファム。私にリアムのこと、教えてくれてもよかったじゃない。どうして黙ってたの?」
「リアムは人見知りだからな。まだお前には会わせない方がいいと判断したんだ」
とか義務みたく言っちゃって。
ほんとはただ単にリアムが大事なだけじゃない。ふたりとも思ってることを全部隠しちゃうんだもん。世話が焼ける。
「ルシファムがリアムのこと、心配で心配で堪らなかったんだって〜。よかったね、リアム」
「うんっ!」
今までにないくらいの元気な声でリアムが頷く。
というか今のルシファムの発言、失礼すぎない?私をリアムにとって害があるって判断したってこと?
…………いや、いっか。
ルシファムが極度のブラコンだった、ってだけだしね。
「ってことで心配性なお兄ちゃんはお仕事に戻っておいで〜。私はリアムと仲良く遊んでるから。ね〜?」
「うん!遊ぶ!」
可愛い。
可愛いけど…………リアムって背が高いんだよね。175くらいだろうか。可愛いけど、大きい。
ルシファムは不服そうに部屋を出ていく。そして出る際に私に手招きした。
「なに?」
するとルシファムが私の頬にちゅっとキスを落とした。
「ありがとうな」