第3章 白い皇子
「ばか………。リアムは馬鹿だよ」
私の言葉にリアムが肩をびくりと震わす。
「リアムは誰かに嫌いだって言われたの?邪魔だと言われたの?」
おずおずと首を左右に振る。
「ね?リアムの勘違いよ。だって、リアムのことを嫌う人なんているはずない」
その時だった。
私の部屋の扉が勢いよく開く。
「王女様!ルシファム様の弟君のリアム様が……………………え」
ミアーシェだった。
私は目の前に座るリアムと、彼を見て固まるミアーシェを見比べてくすりと笑った。
「リアムならここよ。どうしたの、そんな慌てて」
すると、ミアーシェが力なく笑った。ほっと安心したような少し怒っているような複雑な笑みだ。
「リアム様がどこかに行ってしまわれた、とルシファム様から報告がありまして、城の者総勢で探しております。少しお待ちを。今、ルシファム様を呼んで参ります」
ミアーシェがらしくもなくばたばたと廊下を走って行くのを見送ってから視線をリアムに移した。
「これでも、リアムはみんなから嫌われているって思う?」
リアムが驚いたような顔で私を見る。
私は優しく微笑みを返した。
「思わない………」
そしてまた慌ただしい足音が聞こえてきた。
「あははっ、すっごい慌ててる!ね、リアム」
リアムの顔がぱあっと明るくなる。そして自ら、そのフードを取った。
「リアム!探したんだぞ!」
今にも怒り出しそうなルシファムを私が制止する。
「はい、ストーップ!」
見てよ。
せっかく明るくなったのに、リアムが泣きそうな顔してるじゃん。
「私が無理やり部屋に連れ込んだの。一度話してみたかったから。だから、リアムを責めないで」
椅子から立ち上がり、リアムを背に庇った。すると、リアムが私の背に手を添えて、体を隠す。
え、ちょっと………
すんっごい可愛いんだけど!